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複雑な情報・思考をビジュアルで可視化!「スケッチノート」を始めてみよう
「情報を整理してビジュアル化する」と聞いて、どんなことをイメージしますか? まずはスケッチノートの概要やメリットを見ていきましょう。
「スケッチノート」とはその名の通り、スケッチの要素を組みわせたノート術のことです。ノートやメモを取る場合、基本的には必要な情報を単語や文章でまとめていきます。一方スケッチノートではビジュアルが重視されていて、イラストや図形、矢印や文字を使って、スケッチするような感覚で情報をノートにまとめていきます。
スケッチノートを実践することで、情報や自分の考えを整理できます。たとえば歴史の授業の内容を整理してビジュアル化する場合、歴史上の人物と出来事の関係性を考えるきっかけになります。そしてそれが整理されて視覚化されることで「なぜその人物がその出来事を起こしたのか」といった具体的な背景にまでも理解が進むでしょう。
また、調べものをまとめてビジュアル化するには、ポイントをつかんでイラストや図に落とし込む必要があります。情報を整理するなかで理解が進むだけでなく、要約する力が身につくところもメリットです。
仕事で使えそうなアイデアなどをスケッチノートで記録しておけば、必要なときに情報を引き出して利用できます。たとえば新しい企画につながりそうな商品をインターネットで見かけた場合、その商品のことをスケッチノートでまとめておきましょう。企画会議のときに資料としてそのノートを共有すれば、会議メンバーに情報をわかりやすく伝えることもできます。
人は何かを記憶するとき、文字だけではなくビジュアルと一緒に覚えると記憶に残りやすくなると言われています。これまでに英単語をイラストと一緒に覚える暗記術を試してみた人もいるのではないでしょうか。イラストを使って情報をまとめるスケッチノートにも同様の効果が期待でき、語学学習や試験勉強に活用できるのも大きなメリットです。
スケッチノートも基本的には「ノートを取る・メモを取る」という行為になり、会議のメモや勉強のまとめ、日記やレシピなど幅広い用途に活用できます。
・議事録 ・勉強のまとめ ・本や映画のレビュー ・レシピメモ
・日記 ・旅行記 ・食レポ ・セミナーのメモ など
● シーン例1:授業のまとめにスケッチノートを活用
スケッチノートは授業のまとめとしても便利です。授業で学んだことを自分のなかで要約してビジュアル化することで、授業内容のポイントや全体像の把握につながります。また、ビジュアルは記憶に定着しやすいというメリットもあるので、スケッチノートは学習に適したノート術だといえます。ただノートを取るだけでなく“絵を描く”という行動も加わるので、勉強を楽しむきっかけにもなるでしょう。● シーン例2:料理のレシピ帳としてスケッチノートを活用
料理レシピをイラスト付きでメモしている人も多いのではないでしょうか。実は、これもひとつのスケッチノートの活用法で、材料と分量、料理のステップ、完成イメージなどをイラストとともに整理してまとめます。以上のようにある程度まとめる情報が決まっているので、スケッチノートの練習にも便利です。● シーン例3:会議やセミナーのレポートにも活用できる
会議やセミナーのレポートとしてもスケッチノートは有効です。その場で説明されたことをわかりやすく整理できるのはもちろん、ビジュアル化された要約はほかの人が見ても理解しやすいです。基本的には自分のために活用するスケッチノートですが、共有してチームのために役立てられるのも魅力でしょう。スケッチノートを始めるにあたっては、ノートとペンがあれば十分です。もちろん色を使いたい場合はカラーペンやマーカーを使ってもいいでしょう。筆記でノートを取るのと同じ道具があれば、すぐにスケッチノートに取り組めます。
スケッチノートには具体的なルールが設けられているわけではありません。どんなイラストを描くのか、どんなレイアウトで描くのかなど自由に自分で決められるのが魅力です。しかし、スケッチノートを実践するにあたっての基本やコツとなるものもあるので、それらを押さえておくと取り組みやすくなるでしょう。次の要素を踏まえて、実際にチャレンジしてみてください。
● スケッチノートを構成する要素
作品づくりではないため、イラストは描き込んだものである必要はありません。もちろん、イラストにこだわりたい場合は時間をかけてじっくり仕上げてもいいでしょう。
【アイコン】
丸と線だけの簡略化した人物や、簡単な手紙や電球などのアイコンを使って目印とすることもできます。たとえばメールアドレスの近くに手紙のアイコンを添えるだけで、瞬時にそこにアドレスが記載されていることが把握できます。
【フレーム(枠)】
フレームとは手描きの吹き出しやボード、またはシンプルな四角形などの枠のこと。重要な言葉(ポイント)をフレームで囲うことで、強調されて目に入りやすくなります。情報を仕分ける機能も果たすので、ノート上を整理するのにも役立つでしょう。
【区切り線】
項目と項目を区切る線のことです。線といってもシンプルな一本線から波線、点線、さらにはリボンの形の線などさまざまな表現ができます。
【矢印(コネクター)】
ある情報と別の情報が関係していることを視覚的に示すため、矢印がよく用いられます。矢印の形もさまざまで、立体的なものやシンプルな線の矢印、「>>>」など自由に使い分けられます。
【バレットポイント(行頭文字)】
「バレットポイント(行頭文字)」とは、箇条書きの先頭にくる印のことです。
(例)「・スケッチノート ▶スケッチノート ✓スケッチノート」
ほかにも、アイデアをまとめた箇条書きには電球の形をしたバレットを描いたり、好きな項目にはハートを使ったりなどすると、より視覚的にわかりやすくなります。
【テキスト】
文字や文章もスケッチノートにとって大切な要素です。ただ文字を書くだけでなく、強調したい文字は大きく・太くしたり、影をつけたり、書体にこだわってみたりと、さまざまな方法があります。
こちらはあくまで一例であり、ほかにもさまざまな要素を追加してみてもいいでしょう。スケッチノートで大切なのは、視覚的に理解しやすくすることです。
● スケッチノートのレイアウト
スケッチノートのレイアウトにも厳密なルールはありませんが、見やすくなるものとしては次のようなレイアウトがおすすめです。縦に2~3分割したり、全体を4分割したりと格子(グリッド)状に分けるレイアウトです。導線がわかりやすく、たとえば縦に2分割したものは上から下へ描き込んでいくだけなので、初心者でも取り組みやすいです。
【フロータイプのレイアウト】
順を追って情報を整理する際に便利なレイアウト。タイトルを始点に、最初の情報のまとまりと次のまとまりを矢印などでつないでレイアウトしていきます。ややバランスをとるのが難しいレイアウトですが、料理のレシピなどステップで整理したい場合に便利です。
【放射状のレイアウト】
メインのテーマとなるタイトルや名称をノートの真ん中に配置して、放射状にそのタイトル(名称)の情報を広げていくレイアウトです(構図としてはマインドマップに似ています)。情報を掘り下げて整理するときに便利で、人物紹介や商品情報などをわかりやすくまとめられます。
ほかにも順番や導線関係なく情報を配置するレイアウトや、マンガのコマ割りのようなレイアウトなど幅広くあります。「この情報はどうレイアウトすると見やすくなるかな?」という視点でスケッチノートに取り組んでみてください。