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「クロッキー帳」ってどんなもの?スケッチブックとの違いや用途について解説
デッサンもスケッチもクロッキーと同じく、「絵を描くとき」に使われる言葉。しかし、それぞれのニュアンスはやや異なり、描き方にも違いがあります。
デッサンは「対象物を見ながら丁寧に描く手法」なので、短時間で描くことを求められるクロッキーとは意味合いが異なります。「大まかに描写する」という点では、クロッキーはスケッチの一種と考えることもできますが、こちらも目的が違うと言えるでしょう。
クロッキーは、「対象物を素早くとらえて描く」という、デッサンスキルを高めるトレーニングとして考えることができます。
一般的に販売されている「クロッキー帳」と「スケッチブック」は、特徴が違うので目的によって使い分けるケースが多いでしょう。クロッキー帳は、絵の練習の際に使う、無地の薄い紙を使ったノートのこと。ラフな絵を描くときなどに利用されます。
一方のスケッチブックは、紙が比較的厚く、水彩画などを清書する際に利用されるケースが多いでしょう。作品として絵を描くときには、クロッキー帳ではなくスケッチブックが使われる傾向があります。
● 特徴1:鉛筆などの単色で描くときに使いやすい
クロッキー帳には、スケッチブックよりも薄い紙が使われています。そのため、鉛筆画などの単色で描く際に選ぶケースが多いです。色を使ってこまかく描写していくよりも、鉛筆でラフ画のように描くほうが、クロッキー帳の使い方としては適しています。● 特徴2:紙が薄いので裏移りしやすい
薄い紙を使っているため、両面に絵を描くと裏移りしやすいのが欠点です。そのため、「描いた絵をSNSなどに投稿する」といった目的がある場合は、片面だけを使ったほうがよいでしょう。ただし、「早く描くこと」を練習するなら、両面を使ったほうがムダは少なく効率的です。どのような目的でクロッキー帳を利用するのかによって、使い方は変わってきます。
なお、マルマンの『クロッキーブック アンチークレイド』のように、紙質が表と裏で異なる製品もあります。その場合は、目的に応じて両面を使い分けるようにしましょう。
クロッキー帳を上手に使うためにも、適切なサイズを選択する必要があります。クロッキー帳は、ハガキ程度の小さいものから縦35cmを超える大きなサイズまでさまざま。そのため、自分が描きたいテーマから、どの程度のサイズ感がちょうどよいのかを検討しましょう。
たとえば、外で人物や風景を描きたいのなら、持ち運びや作業時に周囲の邪魔にならないB4サイズまでがちょうどよいサイズ感と言えるでしょう。自宅で絵を描くだけなら、大きいサイズを選んでも邪魔になりません。
サイズ別の適した用途や便利な使い方については他の記事で詳しく解説していますので、こちらもぜひ読んでみてください。
クロッキー帳のサイズ別「適した用途」が知りたい!便利な使い方も解説
クロッキー帳に絵を描く場合、どのような筆記用具との相性がよいのでしょうか。
基本的にはどの筆記用具とも相性はよく、主に鉛筆、コンテ、木炭、パステルなど、さまざまなものに対応しています。ただし、クロッキー帳に水彩を使用すると紙にシワなどができてしまう恐れがあるので、水彩用途にはおすすめできません。
クロッキー帳を利用する目的が「人を描くため」なら、木炭紙判のクロッキー帳がおすすめです。木炭紙判は「A4」や「B3」などと同じくサイズを表す規格の一種で、「650mm×500mm」の大きさがあります。
木炭紙判なら、上半身だけの石膏像を等身大に近いサイズで描くことが可能。美大受験などで用いられている一般的なサイズでもあるので、トレーニングには適していると言えそうです。
・持ち運びに便利な「ポケットサイズ」
・コンパクトで鞄に入れやすい「SQサイズ」
・十分なボリュームで絵が描ける「Sサイズ」
・大きめの作品を描きたい人におすすめの「Mサイズ」
・よりダイナミックに、展示用などの大型作品が描ける「Lサイズ」
アイデアを書きとめるクロッキー帳が欲しい人には、ポケットサイズやSQサイズがおすすめ。ただ、小さいとやや絵を描くのに不自由さを感じることがあるため、絵を描く目的で利用するならS・M・Lサイズが好ましいでしょう。自分が描きたい作品に合わせて、クロッキー帳のサイズを選んでみてください。
『クロッキーブック』の表紙に使われている素材は丈夫で、丸められるほどしなやか。丸めてもなかの紙を汚したり折ったりする心配がないので、持ち運びにも便利です。
製本方法には「S.C.綴じ」が採用されており、ワイヤーで表紙と裏表紙がつながっている仕様です。ワイヤーによって、外から力が働いても紙に負担がかからないように保護してくれます。
マルマンの『クロッキーブック』に使用されている用紙は、独自の設計によってつくられた国産オリジナル用紙が用いられています。ラフ肌の「白クロッキー紙」とソフトな「クリームクロッキー紙」が用意されており、どちらも鉛筆画との相性がよいのが特長です。
紙質は非常になめらか。鉛筆やペンの引っ掛かりが少ないため、気持ちよく描き続けることができるでしょう。
『クロッキーブック』と同様の紙が使用されているルーズリーフタイプの『クロッキーリーフ』を購入すれば、いつでも手軽に絵を描き、バインダーに作品を綴じておけます。ルーズリーフタイプであれば、描いた絵を種類別にファイリングするのも簡単。保管しやすいのも魅力です。
マルマンの『クロッキーブック』には、1970年に考案されたロゴマークがデザインされています。コンパスと定規だけで制作されたシンプルなロゴマークは、50年以上も変わることなく使われており、今でも画家たちに愛されています。
浮かんだイメージをすぐに描写したり、速写を練習したりする場合は、スケッチブックよりもクロッキー帳のほうが使いやすいかもしれません。基礎的な画力を向上させるには、速写の繰り返しが生きてきます。日頃からクロッキー帳を持ち歩き、絵の練習をしてみるとよいでしょう。
マルマン製品であれば丈夫な『クロッキーブック』以外にも、『クロッキーリーフ』や『クロッキーパッド』など、さまざまなニーズに対応する製品が豊富に取りそろえられています。一度、マルマンの『クロッキーブック』を利用し、その使いやすさを実感してみてください。