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水彩色鉛筆は使い方次第でいろいろな表現ができる!種類や技法を紹介
水彩色鉛筆は水彩画をより簡単に、気軽に楽しめる筆記用具のひとつです。まずは油性色鉛筆との違いから水彩画を始めるのに必要な道具など、水彩色鉛筆の基本を押さえていきましょう。
色鉛筆には大きく分けて水彩色鉛筆と油性色鉛筆がありますが、これらの最大の違いは水に溶けるのか弾くのかという点です。水彩色鉛筆は水に溶けるため水彩絵具のような表現を可能にしてくれます。一方、油性色鉛筆は油を多く含むため水に溶けずに弾くという特性をもちます。水彩色鉛筆も油性色鉛筆のように乾燥した状態でも描けるため、色鉛筆のタッチで線を引き、後から水を使って着彩するといった使い方もできます。
水彩画と聞くと、パレットや筆、筆洗など多くの道具が必要なイメージがあるかもしれません。しかし、水彩色鉛筆で水彩画を楽しむために最低限必要なのは、水彩色鉛筆と筆、水彩紙の3点のみ。気軽に水彩画を始められるのも、水彩色鉛筆の魅力です。
● 水彩色鉛筆
水彩色鉛筆にもさまざまな種類のものがあります。色の種類や芯の硬さなど、好みや用途に合わせて選びましょう。● 筆
筆は一般的な水彩用のものや、軸に水を入れ、水を出しながら描くことができる水筆などを使用します。● 水彩紙
水彩色鉛筆でも水を多く使うため、波打ちやヨレに強い水彩紙を選びましょう。水彩紙は種類によって描き心地にも違いが出てくるため、いろいろ試して自分にあったものを探してみてください。芯の硬さは書き心地やタッチ、表現の幅などあらゆる面に影響します。ここでは水彩色鉛筆の芯の硬さとして定番の硬質・中硬質・軟質、それぞれの特長をご紹介します。
● 硬質
硬質は色鉛筆らしいタッチを出しやすく、こまかい線などを描くのに適しています。ドライで線絵を描く場合やこまかな描写をしたいときにおすすめです。一方で水に溶けにくい傾向にあるので、広い範囲の塗りつぶしをする場合などはやわらかい芯がおすすめ。● 中硬質
中間の硬さにあたるのが中硬質です。色鉛筆の表現と水彩表現をバランスよく楽しめます。描き心地が油性色鉛筆に近いこともあって、水彩色鉛筆初心者の人にもおすすめです。芯の硬さに迷った場合、まずは中硬質を試して、より硬いもの、よりやわらかいもの、といった形で好みの硬さを探ってみるのもよいでしょう。
● 軟質
もっともやわらかく、水に溶けやすいのが軟質です。色鉛筆のタッチをあまり残さない、より水彩画の表現を出しやすい芯です。また、芯の色が水によく溶けるため水彩絵具のように色を混ぜやすく、より複雑な色彩表現を楽しみたい人にもおすすめ。芯を水で溶かしながら使う方法にも適しているため、はっきりとした色彩の絵を描く際にもぴったりです。
色鉛筆といえば12色セットが定番ですが、24色、36色など多くの色がセットになったものもあります。これから初めて水彩色鉛筆を使用するのであれば24~36色前後のものがおすすめ。まずはそれぞれの色を実際に試して色の感覚をつかんでいきましょう。
よりこまかな色表現をしたいのであれば72色や96色といった色の種類が多いものを選びましょう。水彩表現では色を混ぜることもできますが、色が多ければそれだけ深みのある表現ができるようになります。
見落としてしまいがちですが、セットで購入するのであればケースもチェックしておきたいポイントのひとつです。水彩色鉛筆は水に濡れると芯が溶けてしまう可能性があるので、屋外で使用する場合は防水性などもチェックしておきたいところです。
油性色鉛筆のような“色鉛筆”としての使い方(この方法を「ドライ」といいます)以外に、水彩色鉛筆の基本的な使い方(表現)としては主に次の3種類があります。
● 水彩色鉛筆でできる表現1:「ドライ&ウェット」
「ドライ&ウェット」は、水彩色鉛筆で色を塗って(描いて)から、濡らした筆でその上をなでる方法です。描いた水彩色鉛筆が水に溶けるように広がり、水彩画独特の雰囲気が出ます。使用する筆は一般的な水彩用の筆でもよいですが、軸部分に水を入れ、水を出しながら描くことができる「水筆」もおすすめです。
● 水彩色鉛筆でできる表現2:「ウェット」
「ウェット」は、濡らした筆で水彩色鉛筆の芯に触れて色をとって、そのまま用紙に塗る方法です。ドライ&ウェットと比較すると色鉛筆のタッチが残りにくいことから、より水彩画らしい線や塗りを表現できます。また、一度塗った色を伸ばすのではなく、直接色を乗せられることでより強い発色にすることも可能です。複数の色の水彩色鉛筆を使うことによる混色もしやすいため、複雑な色を表現したい場合にもおすすめ。
● 水彩色鉛筆でできる表現3:「ドライ」
水彩色鉛筆は油性色鉛筆と同じように、水を使わず直接線を引いたり色を塗ったりできます。水彩色鉛筆の芯の硬さにも種類があるため、さまざまなタッチを表現できます。とくにドライを中心に使用したいのであれば、こまかい表現を得意とする硬質のものがおすすめです。この3種類の方法だけでもさまざまな表現が可能となりますが、重要となるのは水の量の調整です。水を使いすぎるとにじみやすくなったり、反対に水が足りないと色を十分に伸ばせなかったりします。練習を繰り返して、水の量の感覚をつかんでいきましょう。
ほかにもさまざまな水彩色鉛筆の技法があります。基本となる3つの表現を試してみたら、次の技法にもチャレンジしてみてください。