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【レビュー企画】『図案スケッチブック』に水彩絵具や色鉛筆などで描いてみた
『図案スケッチブック』にも種類があり、サイズや製本方法にそれぞれ違いがあります。「ツインワイヤ製本」ならページをめくりやすく、思い浮かんだアイデアを書き留めるときやサッと描き始めたいときに便利。一枚一枚紙を切り離せる「パッド製本」なら、描いた作品を飾りたいときなどに使いやすそうです。
使う目的やシーンによって豊富なラインアップから選べるのも、『図案スケッチブック』の魅力です!
普段、ノートやルーズリーフ、手帳をメインに使っていると、「紙の表面は滑らかなほうが書きやすいのでは?」「書きやすいほうが、いろんな表現がしやすいのでは?」とつい考えてしまいます。もしかしたら、何か秘密があるのかもしれません。
スケッチブックの凹凸具合(紙の目)をわかりやすくするために、まずは鉛筆で紙を塗ってみて、どんな表現になるか試してみましょう。比較のためにまずは「コピー用紙」にリンゴを描き、輪郭の内側を塗っていきます。
【使用する鉛筆:リラ レンブラント・アートデザイン 9B】
【使用する鉛筆:リラ レンブラント・ポリカラー】
● 描き心地もGOOD!
実際に描いてみると、シボの凹凸をほどよく感じられ、紙に厚みもあるので柔らかい描き心地です。「凹凸があると鉛筆の引っ掛かりはどうなんだろう?」ということが気になってしまうかもしれませんが、鉛筆の輪郭を描いているときも特に気になりませんでした。何より、やはり紙の目が現れたときの感動が大きいですね!リンゴの輪郭を描くとき実は何度か消しゴムを使っていますが、ほとんど毛羽立つこともなく、そのあともスラスラ線を引けました。描きやすさや描き直しのしやすさもあるため、初心者の方にもおすすめです!
続いて描いたリンゴをティッシュでこすってみましょう。デッサンではよく行われる方法なのですが、どういった表現になるかチェックしてみます。
シボの凹部分に黒鉛が入るか入らないかによっても、さまざまな見え方になるんですね。ちなみに、鉛筆のデッサンでは紙の目が出ているときほど「彩度が高い」、こすってぼやけた感じになったときほど「彩度が低い」と表現します。黒色に対して「彩度」と聞くと違和感があるかもしれませんが、上の写真を比較してみると、その意味がわかるのではないでしょうか。
また、こすらなくても濃く描くことで凹部分に黒鉛がのります。真っ黒に塗れるので明暗を表現でき、そうすれば絵に立体感も生まれます。鉛筆一本でも、図案スケッチブックなら本当にいろんな表現を可能にしてくれるんです。
だんだんと描くことが楽しくなってきたので、今度は「柿」にチャレンジしてみます! まずはクレヨンで描いてみましょう。
● クレヨンの描き心地は……
クレヨンで描くときにもうひとつ感動したのが、スケッチブックだと比較的滑らかに描けた点です。クレヨンは摩擦が強いせいか、凹凸がない紙だと表面との接触面が広くなり、描くのに少し力が必要だったりします。さらに薄い紙だと、描いている最中にシワができたりするんですよね。『図案スケッチブック』なら厚みや強度があるので、小さなお子さまの落書き帳としても活躍してくれそうです!丸ペンのようなペン先がとがった画材では、紙のシボにより思い通りに描きにくいところもあるため、ボタニカルアートなどの細密画にはあまり向かないかもしれません。アルコールマーカーの描き心地はとても滑らかだったので、ペン先が太いものやサインペンのようなペン先がおすすめです。
描いている最中に思ったのですが、ペンで輪郭を描いて、絵具で着彩するイラストもおもしろいかもしれません! いろんな画材を使ってスケッチブックに描いていると、「こんなイラストも描いてみたい」というアイデアが不思議と湧き上がってきます。
紙選びと同様に、水の調節が重要な水彩画。試しにまずはコピー用紙に描いてみましょう!
今度は、同じくらいの水の量でスケッチブックに描いてみましょう。コピー用紙に描いてみた場合とも比較してみます!
マルマンの『図案スケッチブック』が「表面のシボ(凹凸)が表現を豊かにしてくれる」「さまざまな画材との相性が抜群」と言われる理由、今回のレビューを通じてお伝えさせていただきました。
最後に水彩絵具を使ってレビューしてみましたが、実は水彩にぜひおすすめしたいスケッチブックもあります。次回のレビューでは「水彩紙」を取り上げ、その特長に迫りつつ、さまざまな水彩技法を試してみたいと思います!