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スケッチブックで水彩画を描きたい!おすすめの用紙や描き方を解説
画用紙は、鉛筆やペンなど幅広い画材との相性がいい一方で、製品によっては水彩画を描くと紙がたわんでしまったりよれてしまったりします。そういった事態を避けるためには、「水彩紙」を選びましょう。水彩紙はその名の通り水彩画に適した用紙で、重ね塗りをしても紙が毛羽立ちにくいのが特徴です。水をたっぷり含ませて描くときは、厚めの水彩紙を選んでみましょう。
● 水彩紙の特長
画用紙よりも厚みがある用紙で、サイジングと呼ばれるにじみ止めの加工が施されています。このサイジングによって絵具(水)がすぐにしみ込まないため、紙の表面に絵具(水)がとどまり、「にじみ」や「ぼかし」、「グラデーション」などがきれいに表現できます。 一言で「水彩紙」といっても種類があり、目の粗さ(表面の凹凸の大きさ)や厚みに違いがあるので、それぞれの特性を把握してから選ぶようにしましょう。● 目の粗さ
水彩紙は種類によって表面がデコボコしていたり、そのデコボコが抑えられていたりします。これは紙の目の粗さによる違いで、大きい凹凸(荒目)ほど凹部分に絵具が溜まり、色に深みが出ます。 凹凸が小さいほど(細目~極細)ツルツルした手触りになり、筆の運びがなめらかになるため細密な表現がしやすくなります。 表面の凹凸が大きい順に、荒目>中目>細目と呼ばれていますが、メーカーによっては中目を細目、細目を極細と呼ぶこともあるので注意が必要。水彩画をこれから始める人は、中目の水彩紙でまずは感触を確かめてみてもいいでしょう。● 紙の厚さ
用紙の厚さは一般的に「g/m2」という単位であらわされますが、180~300g/m2の厚さのものから600g/m2前後のとても厚いものまで幅広くあります。厚ければ厚いほどたわみにくく重ね塗りなどがしやすくなりますが、価格も高くなる傾向にあります。水彩紙であれば薄めの紙でも水の量を調整していくことでたわみを避けられるので、まずは薄めの紙で練習して水の量の感覚をつかんでみてもいいでしょう。● 紙の製本(綴じ方)
さまざまな種類がある水彩紙ですが、製本の仕方(綴じ方)にも違いがあります。それぞれの特長は次の通りです。リング製本 | パッド製本 | ブロック製本 | カット判 |
---|---|---|---|
リングやスパイラル状になった針金を使って製本されていて、用紙を裏側まで360度回せる。 |
付箋のように1辺が糊で綴じられている製本。1枚ずつはがすこともできる。 | 複数枚の水彩紙を重ね、四方をロウや糊で固めた製本。水張りなしで使える。 | 1枚1枚の用紙が綴じられていない、バラバラになった水彩紙。 |
・パレット
・筆
・筆洗(水を入れる容器)
・水彩絵具
・ぞうきん
・スケッチブック(水彩紙)
・試し塗り用の紙
・鉛筆
・練りゴム
・ティッシュ
・筆
・筆洗(水を入れる容器)
・水彩絵具
・ぞうきん
・スケッチブック(水彩紙)
・試し塗り用の紙
・鉛筆
・練りゴム
・ティッシュ
水彩画に必要な道具を揃えたら、実際に絵具を使って描いてみましょう。ここでは下書きから色塗りまでの基本的なステップをご紹介します。
● STEP1:水彩紙に下書き
なにを描くか決めたら、鉛筆を使って下書きします。下書きで濃く描いてしまうと、着色の際に絵具と鉛筆の粉が混ざって暗い絵になってしまうので注意が必要です。● STEP2:絵具を用意①-混色で色をつくる
下書きができたら、パレットに使いたい色の絵具を出していきます。単色で使いたい色が見つからない場合は、色と色を混ぜ合わせて好みの色をつくりましょう。別の用紙を用意して、試し描きしながら色を確認すると便利です。● STEP3:絵具を用意②-濃淡を決める
水の量を調整して色の濃淡を決めましょう。水の量が多ければ淡い色に、少なければ濃い色になります。● STEP4:薄い色・明るい色から塗る
色を塗るときは、薄い色から塗り始めるといいでしょう。薄い色を重ねることで濃い色にしていくことはできますが、反対に濃い色を薄くするのが難しいためです。暗い色も同様で、後から明るくすることが難しいので、まずは薄い色・明るい色から塗ることをおすすめします。ここまでが下書きから着彩までの基本的なステップです。混色も突き詰めていくと何通りものバリエーションがつくれるので、実際に水彩画を描くなかでさまざまな色づくりにトライしてみてください。
水彩画にスケッチブックを使う場合、紙が水を含むことで波打ちができてしまうことがあります。そういった事態を避けるためにはスケッチブックのなかでも水彩紙を使うのが理想ですが、使う水の量によって水彩紙で「水張り」を行ってみてもいいでしょう。
水張りとは、水彩紙に水を含ませる下準備のことです。紙は水を吸収すると伸び、乾燥すると縮みます。水張りであらかじめ水彩紙に水を含ませておくことで、紙の伸び縮みを防ぎ、完成時もきれいな状態を保つことができます。
また、水張りに必要な道具として以下のものが挙げられます。
・水彩紙
・霧吹き
・刷毛
・ハサミやカッター
・木製パネル
・タッカー
・水張り用テープ
・霧吹き
・刷毛
・ハサミやカッター
・木製パネル
・タッカー
・水張り用テープ
ここでは、水張りのやり方をステップごと紹介していきます。
● STEP1:紙に水をなじませる
まずは紙の裏面全体に霧吹きで水をふきかけます。こうすると用紙の表面に水がたまるので、刷毛でなでて用紙になじませていきましょう。用紙を十分に伸ばすことが大切なので、用紙の端までこまめに水をふきかけます。用紙の波打ちがなくなり水がなじんだら、十分に伸びたサインです。● STEP2:木製パネルに紙を固定する
用紙の裏面にパネルを置いたら表に返します。表面にローラーをかけてパネルとなじませながら(紙とパネルの間の空気を抜くイメージ)、タッカーや水張りテープなどで用紙をパネルに固定します。角の部分は浮かないよう、破れない程度に用紙を引っ張りながら慎重に留めていきましょう。● STEP3:紙を乾燥させる
平らな場所で用紙を丸1日乾燥させれば水張りの完了です。道具の準備から下準備、乾燥させる時間を含めると、丸1日以上かかるので、時間には余裕を持って取り組んでみましょう。水張りには必要な道具が多く時間も必要なため、ややハードルの高さを感じるかもしれません。そんなときは、水彩紙スケッチブックのなかでも波打ちやたわみに強いブロック製本を選びましょう。ブロック製本は、10~20枚ほどの水彩紙を重ねて四方をロウや糊で固めた製本です。紙がブロック状に固定してあるので、水張りをしなくても紙が波打ちしにくいという特長があります。